前回、中学生O君の2度と読まないくちゃくちゃノートについてお話ししました。
O君はどうして乱雑なノートを書くのでしょうか。
ノートは読み返すものだと思っていなかったというのもひとつの原因でしょう。
しかし、それ以前に大きな原因があります。

 

ひらがなは書くのがけっこう難しい

日本で日常的に使われる文字は4種類
ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット
この中で一番難しそうに見えるのは漢字で、確かに複雑な構成を持っています。
読み方が何種類もあるのも、難しいところです。
でも、構成する線に限定してみると、漢字はもともと甲骨文字なので、おおざっぱに言えば直線の組み合わせです。

反対に、線が最も難しいのがひらがなです。
ひらがなは漢字を崩したものからできています。
ひらがなを生み出した人々は平安貴族で、最も教養が高く、達筆な人の集団でした。
そのため、使われている曲線の種類が多く、線の長さや角度もさまざまです。
筆運びに複雑なリズムがあり、筆圧のコントロールも絶妙でした。
ひらがなには筆遣い名人の技術が詰め込まれているのです。

また、ひらがなは連綿と言っていくつかの文字を続けて書くのが一般的でした。
たとえば「~けり」といっても、「け」と「り」の境目はないのです。
アルファベットになぞらえると、もともと筆記体しかなかったということになります。
今私たちがひらがなと思っている文字は、それを明治以降の活版印刷のために、1文字ずつに切り離し、作り直したものです。
これをブロック体ということもできるかもしれませんが、筆文字のなごりは色濃く残っており、多種多様な曲線の集合体という面はかわっていません。

これを6歳くらいの子どもに書かせるのは本当のところ無理があるように思います。
明治の人がひらがなより簡単に書けるカタカナから学ばせることにした理由がわかる気がします。

 

字を書く前のお絵描きがカギ

上手な字を書くための条件は3つあります。
1. 2Dの形を見分ける空間認識
2. イメージした通りの線を引く手指のコントロール能力
3. 1文字を仕上げるための集中力、根気

これらは幼児期のお絵描きの条件と同じです。
お姫様の絵を描くのが上手な女の子はだいたい読みやすい字が書けるものです。
1.人物や動物、太陽などを画用紙にうまく配置します。空間認識に長けています。
2.左右対称に斜めの線を引いて腕を描き、服にはフリルをつけます。イメージ通りの線を引けるのです。
3.人物1人を仕上げるために根気よく書き続けます。
文字書きの条件をクリアしているのです。
ですから、わが子に上手な字を書いてほしいと思ったらお絵描き好きにするのが近道です。

一方、O君のような子どもたちには幼児期のお絵描きから特徴があります。
幼稚園時代に描いていた絵は主に電車
なぜかというと電車なら描けるから。
直線で線路を描いて、四角の下に丸を2つ描けば車両のできあがりです。
特別電車が好きなわけではないので、細かいこだわりはなし。
新幹線も蒸気機関車も描きません。時間が余ったら線路を長くします。
園の教室の後ろに貼ってある絵の中にこういう絵が数枚みかけられるのではないでしょうか。
絵を構成する線が丸と縦と横の直線だけで済むというところが人気の理由です。
丸は1歳半くらいで大体の子どもが描けますから、年長さんならお手の物でしょう。

絵を描くための2Dの空間認識力は上下左右がわかって、神経衰弱のカードの位置を覚えているなら大丈夫。
集中力や根気は好きなことに熱中できるなら大丈夫だといえます。
難しいのは線引きです。
線引き上手になれる遊びと遊び方をご紹介しましょう。

 

イメージ通りの線を描くための遊び3種

1.点つなぎ
市販の教材でもよく見かけますが、点を番号順につないでいくと何かの絵ができるというものです。
番号なしの問題もあり、高度ですが、年長さんならトライしていただきたいレベルになります。
簡単な絵が描けるパパ、ママなら問題も作れるでしょう。絵の輪郭の要所要所にマジックで点を打つだけです。
【遊び方】
番号がないと、見本の形を作ること自体が大変かもしれません。なるべく簡単な絵からはじめましょう。
うまくつなげないときは、見本をなぞってからやり直すとうまくいくことがあります。
また、点と点を直線でまっすぐつなぐこと、点で止まって次の点に向かうこと、結果的に点が角の頂点になることに注意すると線引きがうまくなります。
点ごとに止まれたら花丸、点を一応通っていたら丸など、ルールを作ってもいいでしょう。

2.迷路
おなじみの迷路です。はじめは分かれ道もなく、道幅も広いものから始めます。
簡単なものでいいので、おうちでも作れるかもしれません。
分かれ道のある迷路は推理力も養いますが、線引きのコツとしては道の真ん中に線を引くように注意するのがポイントです。
だんだん道幅の狭い迷路へと進化させていきましょう。
【遊び方】
迷わずゴールに着くことばかりに気を取られがちですが、間違えたら戻ればいいのです。それより、道からはみださないように気を付けましょう。はみだしてしまったら「事故で~す。」「大変、大変、助けてあげてください。」などと言って直させましょう。

3.写し絵
好きなキャラクターの上にトレーシングペーパーを載せてなぞり書きをします。キャラクターには斜め線や曲線が含まれていますから線描きの練習になります。
【遊び方】
ただそっくりに書くだけではつまらないということでしたら顔の表情は自由に書く、色を塗る、好きな絵も一緒に書く、あるいは別のキャラクターと合体させるなど、変化をつけるといいでしょう。

小学1年生の教科書で使われている教科書体に合わせて、線描きの練習ができるひらがな教材を作りました。
「ひらがなごりら」といいます。
ひらがなごりらのサンプルはこちら

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いかがでしたか? この記事は〈かな学習室〉で実際に幼児のひらがな指導で効果の高かった学習方法です。小学生になってから硬筆で金賞を獲得するのに役立っています。

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