字を読むと文章を読むの間には「言葉を読む」という過程が必要

もし、入学前にひらがなに関心がなく、自分の名前くらいしか読めなかったとしたら、というお話をします。

 

入学前の学校説明会で「自分の名前が読めればいいですよ。」と言われたので、春休みに特訓して名前だけは読めるようにしたというお子さんを数人知っています

 

彼らはみんな賢い子どもたちです。文字読みは入学後3~4ヶ月でクリア。文字書きも同時進行で書けるようになりました。3歳で読み始めた子より、習得にかかった時間はずっと短いと思います。

しかし、文章をすらすら読んで、書いてある内容を把握できるようになったかというと、そうはなりませんでした。

実は、ひらがなが読めたから、文が読めるかと言うと、そんなことはないのです。文字を読む→文章を読む、と進む間には「言葉を読む」という過程が必要です。

 

ネット上で時折見かける下の文章をごぞんじでしょうか。

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こんちには みさなん おんげきですか? わしたは げんき です。この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく のけゅきんう の けっか にんんげ は もじ を にしんき する ときその さしいょ と さいご の もさじえ あいてっればじばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる というけゅきんう に もづいとて わざと もじの じんばゅん をいかれえて あまりす。どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?

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ケンブリッジ大学で研究されたかどうかはわかりませんし、言語学や心理学で証明されたかどうかも知りません。上の文章は言葉の選択がじょうずなのかもしれませんし、文字のデザインの影響もあるのかもしれません。でも、実際に読めてしまうところをみると、私たちが文字1つ1つを追っていないことがわかります。

 

「わたしは しっている。」を「わ・た・し・は・しっ・て・い・る」と文字読みに戻すと意味がつかめません。「わたし」で自分のイメージ、「しっている」で知識のイメージを頭の中に浮かべて、主人公「わたし」のまわりを知識の霧が包み込んでいるようなイメージが完成すれば読み取れたと言うことになります。

このような状態のことを「言葉読みができる。」と言います。

 

よく、「うちの子はひらがなが読めるようになったのに、自分で本を読まないんです。」というお悩みを伺いますが、文字を1文字ずつ読めるようになった後、言葉としてまとめて読み、頭の中に言葉のイメージを思い浮かべることができるようになるところが、最大の関門と言ってもいいのです。

文字読みから言葉読みに至るには、長い時間がかかります。経験的に言うと、3歳くらいで文字に関心を持って、読み始めた子は専門的なトレーニングをしなくても1年から1年半くらいかけて言葉読みに至るようです。

しかし、学校に入ってから文字読みをはじめたとすると、言葉読みの練習をする間がないままに文読み、文章読みと進まなければなりません。

 

 

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